★★★☆☆
この映画、ツッコミどころ満載で決してウェルメイドな作品とはいえないのだが、どうも嫌いになれない。
なぜだろう、とつらつら考えていてハッとあることに気がついた。
これは僕の好きな“アレ”に似ている、と。
“アレ”とはなにか……それは、セガール映画である!
セガール映画の基本プロットはこうだ。
娘がさらわれる → 精鋭部隊が悪人のアジトへ突入するも全滅 → セガールがひとりでアジトへ → 悪人全員ぶん殴って娘救出
この中で特に重要なのが、精鋭部隊でも歯がたたなかった強い悪人たちをセガールがひとりでぶっ倒してしまうというところ。
以前、リーアム・ニーソン主演の『96時間』という映画を「リーアム・ニーソンの皮を被ったセガール映画」と評した人がいたが、同じ言い方をするなら本作は「ジェラルド・バトラーの皮を被ったセガール映画」なのだ。
基本プロット以外でも共通項はある。
それは冒頭でも書いたようにツッコミどころが多いというところなのだが、セガール映画とするなら、そういう点も全て愛嬌として微笑ましく観られる。
ツッコミどころを具体的に挙げていると小一時間かかりそうなくらいだが、もっともわかりやすいのはラストシーンだ。
セガール映画においては、たとえ途中で親友が犠牲になっていたりしても、ラストではそんなことすっかり忘れて「いろいろあったから気分転換に旅行にでもいこうか」と娘とヒロインと一緒に肩を組んで脳天気に去っていく、という風に終わる。
本作のラストもこれに習い、バトラーと大統領がボロボロになったホワイトハウスと警護やシークレットサービスの死体の山を前に「ホワイトハウス、ボロボロですね」というと大統領が「保険でカバーしてるさ」と不謹慎極まりないジョークを飛ばして終わる。
おかしな言い方をするようだが、これはセガールが出ているセガール映画より、よほど良く出来たセガール映画である。
本作と同じ時期に公開された、同じような内容の映画にローランド・エメリッヒ監督の『ホワイトハウス・ダウン』がある。
岡田斗司夫やライムスター宇多丸は、『ホワイト~』を高く評価していたようだ。
僕はまだ未見なので比較する意味でも観ておこうと思うが、今から想像するに、おそらく『エンド~』において岡田や宇多丸が低い評価をするポイントとなった部分と、僕が好きなセガール映画要素の部分とは重なりあっているのではないかと思うのだが、さて……。
- 感想投稿日 : 2014年6月19日
- 読了日 : 2014年6月19日
- 本棚登録日 : 2014年6月19日
みんなの感想をみる