狼男に惚れて、おおかみこどもを産んだ女性の子育て物語。
子供達のその出自ゆえの人智を超えた苦難に、踏ん張る彼女。
両方の存在意義を受けとめた彼女だから出来る育成方針と健気さに胸を打つ。
軸は、二人の子ども。二人(二頭)のおおかみこども。
人に育てられ、人間社会で育てられる。
幼いながらも向かい合う、自己と社会。
そこで見つけた姉弟の選択。
子供より、大人向けのストーリーと感じた。
とはいえ、難解ではなく。心情描写が。葛藤が。
ストーリー自体は、正直それほど驚きはない。
邦画によくある序盤の緩慢さもある。
ヒドく言えば、この手の良くある話と思われるし、大まかな展開予期できる…が、何のその!
小さな展開の一つ一つが、染み渡る。
子供の無邪気さ。
人間社会の辛さ。そして逆に温かさ。
人情の移り変わり。
そこが良く出てるように見えた。
色とか、匂いが感じられるような。
個人的に一番圧巻だったのは、教室を使った時の流れの描写。
何気無いシーンだが、そのスルリと入り込む描写には感嘆した。
自然を感じるサウンド。
軽やかに滑るような映像。
それらの要素もまた見事。これぞ映画!という感じ。
確かに話の核は、姉弟。
しかし鑑賞後に抱いたのは、これはやはり母である彼女の物語。
母は偉大。
彼女と彼女と彼に、それぞれ幸あれ。そう思わずにはいられない。
良い作品だった。心から。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
DVD・Blu-ray
- 感想投稿日 : 2013年7月28日
- 読了日 : 2013年7月28日
- 本棚登録日 : 2013年7月28日
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