悲しみの乗り越え方 (角川oneテーマ21 A 137)

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2011年6月10日発売)
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かねてより興味を持っていたグリーフ(悲嘆)ケアについて学び始めたところです。
「喪失」にともなう悲しみをどうケアしていくか。
「喪失」というのは家族や身近な人の死ととらえていましたが、それだけではないようです。
子どもころから、おもちゃや大事なものを壊したり捨てられてしまったり。。。
人はそれらの小さな悲しみを乗り越えてきているのです。

グリーフケアの第一人者として上智大学グリーフケア研究所所長を務める著者が多面的に、グリーフケアについて描いています。

第1章 ”喪失の積み重ね”としての人生
第2章 人生の選択肢を失う悲しみ
第3章 愛するいのちを失う悲しみ
第4章 自らの死といかに向きあうか
第5章 悲しみを前にした私たちの孤独
第6章 悲しみの乗り越え方

自分の死を前にした人の不安や恐怖の要因
・愛する家族や友人たちとの別れ
・自分が遺す家族に対する心配
・人生を不完全なままに終えることへの不満
・身体的苦痛への恐怖と不安
・一人旅立つことの孤独に対する恐怖と不安
・体験したことのない未知なるものを前にした不安
・自己自身が消滅し無になることへの不安
・死後の「審判」や「罰」についての不安

人は死ぬとどうなるのか?
①無になってしまうのか
②輪廻転生するのか
③どうなるかわからないけれども、何かが残るような気がする
④天国(極楽)や地獄に行く

病などで死を間近にした人たちは、このテーマでまず大きな壁にぶつかるといいます。
私は父を亡くしたときに、ずいぶん考えたことがありました。
少なくとも、①であってほしくない
とくに宗教を持たない私ですが、②か③であってほしいなと思っています。
そうであれば、とても安らかな気持ちになれます。

悲しみの乗り越え方の項目だけピックアップしておきます。
・悲しみを受け容れて、表現すること
・悲しみを誰に話すか
・今を生き抜いて、時間をかけること
・自分自身を縛りつけているものを手放すこと
・他人と、故人と、自分との新しい出会い
・出会いに対して開かれていること
・他人を評価するのではなく、信頼すること
・小さな喪失を積み重ねること

時期の早い遅いはあるとはいえ、いずれだれもが死を迎えるという意味は、「死はだれにとっても平等なものである」という言葉が心に残りました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2013年3月28日
読了日 : 2013年3月28日
本棚登録日 : 2013年3月1日

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