二重生活

著者 :
  • 角川書店(角川グループパブリッシング) (2012年6月28日発売)
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感想 : 62
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ジャン・ボードリヤール、ソフィ・カル、カミュを参照、引用している。

「本当の話」ソフィ カルは、 ヴェネツィア組曲、尾行、本当の話、の3篇を含み、ボードリヤールの解説がある。

主人公が仏文学の大学院生という設定で、
カリギュラ、誤解の話題が出てくる。

この手があったのだ。ある作品に敬意を表して、後を辿る。

人が人を追跡することは、追跡している人自身を追跡することにもなるという。
主人公が、登場人物を追跡することは、主人公が主人公自身を追跡するという記述になっている。

追跡された人の二重生活だけでなく、追跡者の二重性を描写することによって、二重構造を多層的に展開する。

著者が、作家、作品を追跡する際に、この手法は有効だろう。
予め、追跡する対象を表明し、単なる模倣ではないという言い訳になる。

仏文に拘ったのは、同居者が、仏文が専門だった直木賞作家、藤田 宜永のよい影響なのだろうか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小池真理子
感想投稿日 : 2013年3月17日
読了日 : 2013年3月17日
本棚登録日 : 2013年3月17日

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