ジャン・ボードリヤール、ソフィ・カル、カミュを参照、引用している。
「本当の話」ソフィ カルは、 ヴェネツィア組曲、尾行、本当の話、の3篇を含み、ボードリヤールの解説がある。
主人公が仏文学の大学院生という設定で、
カリギュラ、誤解の話題が出てくる。
この手があったのだ。ある作品に敬意を表して、後を辿る。
人が人を追跡することは、追跡している人自身を追跡することにもなるという。
主人公が、登場人物を追跡することは、主人公が主人公自身を追跡するという記述になっている。
追跡された人の二重生活だけでなく、追跡者の二重性を描写することによって、二重構造を多層的に展開する。
著者が、作家、作品を追跡する際に、この手法は有効だろう。
予め、追跡する対象を表明し、単なる模倣ではないという言い訳になる。
仏文に拘ったのは、同居者が、仏文が専門だった直木賞作家、藤田 宜永のよい影響なのだろうか。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小池真理子
- 感想投稿日 : 2013年3月17日
- 読了日 : 2013年3月17日
- 本棚登録日 : 2013年3月17日
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