空飛ぶ広報室

著者 :
  • 幻冬舎 (2012年7月27日発売)
4.14
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5

自衛隊の一つの活動への餞(はなむけ)。
3.11以降の災害復旧で活躍した。
そのために出版を1年遅らせたとのこと(P460引用参照)

1 勇猛果敢・支離滅裂
2 はじめてのきかくしょ
3 夏の日のフェスタ
4 要の人々
5 神風、のち、逆風
6 空飛ぶ広報室
  あの日の松島
  あとがき

自衛隊の活動の一端を、最後の付録で示している。
有川浩ならではの切り口で。

広報に焦点を絞ったのは「ラブコメ今昔」の「広報官,走る!」でもおなじみ。
空自の話題は「空の中」でもおなじみ。

有川浩の平衡感覚がすごい。自衛隊の実情と人間としての恋愛感情をうまく均衡させている。

「バランス感覚」という話題がでてくる。(P75 引用参照)

勇猛果敢・支離滅裂:空自
用意周到・動脈硬化:陸自
伝統墨守・唯我独尊:海自
高位高官・権限皆無:統幕
優柔不断・本末転倒:内局
浅学非才・馬鹿丸出し:防衛記者会

有川浩の平衡感覚が、現代の状況を抜け出す切り口を示しているかもしれない。

人によって涙するところ、馬鹿にするところが違うかもしれない。
ベタ甘が嫌いな人で,自衛隊が嫌いな人はいくらでも突っ込んでもらえばいい。

有川浩三段論法(p.421引用参照)
1 言葉に傷つく
2 気持ちを切り替える
3 信じて積み上げる

誹謗中傷をネタに、もう一本書いてもらえるから。
どんな誹謗中傷も、新しい作品への想像力を掻き立てる源泉にしかならない。

父の後を継ぐ娘という話題は、前作にも出てくる。
一部の人から批判されたのかもしれない。

マスメディアでやらせじゃないかという批判として記述し、
やんわり仕返しをしているところが大人だと思う。

今,自衛隊に餞ができるのは有川浩だろう。
平時と有事の違いを際立たせるためには、もう少し書き足して欲しいかもしれない。

続編でも短編の一部でもいい。
「どう考えてもベタ甘」の「続き」を希望する。

ps
付録の「あの日の松島」を主題にした覚え書き
http://researchmap.jp/kaizen/Gambarou-Tohoku/

ps2.
参考文献が広報関係だけで自衛隊関係がないのが寂しい
http://www.amazon.co.jp/lm/R1523NDSZQQSMG/

ps3.
花丸一ついただくごとに、追記,訂正などをさせていただいています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 有川 浩
感想投稿日 : 2012年9月18日
読了日 : 2012年9月18日
本棚登録日 : 2012年9月18日

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