細雪上中下巻。上巻は昭和18年、中間は昭和22年、下巻が昭和24年と戦争を挟んで執筆、出版された。(文庫本で929ページの長編。)小説の時代設定は日本が先の大戦に突入する直前くらいの何かと先が怪しくなってきた時代。それでも世の中はそんなに深刻になるとはつゆ思わず淡々と回っていく。大阪の旧家蒔岡(まきおか)家は大層な羽振りであった先代当主がなくなり女ばかりの四人姉妹が後に残った。長女、次女は先代が存命中に縁談をまとめてもらい本家と分家をそれぞれ構えることになる。家には昔日の勢いは失われているものの、庶民とくらべると数段上質の生活を送りプライドも高い。それぞれ当主である長女・次女はかなり格式にも縛られている。でも次女幸子の方は縛られ方も少し緩やかではある。そういうところに居心地の良さを感じている三女雪子四女妙子は幸子の家での生活が気に入っている。三女雪子は美人だが内気なため婚期が遅れている。四女妙子は外向的で自分の手で稼ぎ自由に恋愛もする。そういう姉妹がそれぞれの性格を見せながらポリフォニーが織りなされていく。縁談、花見、芝居見物、お稽古毎、恋愛、病気、災害、外国人との交流などのイベントが走馬灯のように次から次へと現れては消えていく。特に大層な筋書きがある訳ではない。が、結構浸れる。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2016年4月24日
- 読了日 : 2006年12月10日
- 本棚登録日 : 2006年12月10日
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