ジプシーの音楽がパワフルでリズミカルで楽しい分だけ、内容の陰鬱さが心に染みました…。
生まれた土地から離れずに今も棲み続けている私にとって、『ジプシー』や『旅芸人』『漂泊の民』いった言葉に詩的な響きを感じていたので(芭蕉先生の影響か?)、彼らに「詩」というものがないということにすごくびっくりしました。
「詩って?」
「昨日 感じたことを、明日 思い出させてくれるもの」
「ジプシーの言葉では昨日も明日も“タイシャ”よ」
劇中のやり取りですが、そう答えたパブーシャはまたこうも言います。
「あんた達は強く私達は弱い。学問も記憶もないから。その方がいい。ジプシーに記憶があれば辛くて死んでしまう」
なんというか、すごくなるほどなぁと思ってしまう台詞です…。
定住し、文字を持ち、記憶と経験を積み重ねることで発展してきた文明。
その功罪の罪の部分をこれほどあらわにしているものはないんじゃないかな、と思いました。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2010年代の映画
- 感想投稿日 : 2016年8月8日
- 読了日 : 2016年8月8日
- 本棚登録日 : 2016年8月8日
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