見たいけれど、怖くてずっとペンディングにしていた
ミヒャエル・ハネケ作品をとうとう見た。
色々と思案の末、この「セブンス・コンチネント」をファースト・ハネケにした。
確かに言われていたとおり、救いの無い顛末だった。
でもこれはこれでありだと感じる。
ドキュメンタリーではない映画がいうフィクションであるのだから
何かドラマティックな結末があってしかるべきとも言える。
ただ、ハネケのような予定調和的な結末の無い
切り落としただけの生々しい切り口の映画だってあって良いと思う。
私が怖がっていたのはこの生々しさ。
どこもホラーにもファンタジーにもしていない
地に足の着いた生々しさが突き刺さった。
----------------------------------------------------------
俗っぽく富裕層への階段を登るかにみえたこの物語の夫婦が
どうして心中という最後を選択することが腑に落ちたのか
目が見えなくなったと虚言をいう娘。
自動車事故現場を通りすぎるときに見せた妻の涙。
義弟の不安定な姿や上司との確執の末にある思いに至る夫。
何かが家族に「その時」を告げる。
決心した家族は協力して執拗に生活の全てを壊す。
思い出の家具、楽しく書いたであろう絵、好きだったレコード
そしてお金。
完全なる消滅。
生きていたことを消し去るように。
夫が勢いで壊してしまった水槽だけは家族の共通認識として
不可侵な領域だった・・・この時だけ皆の感情があらわになる。
どのシーンをとってみても明確にこういうことだと説明するのは難しい。
何度も見ればわかる部分もあるだろうが
何度もは見たくないなぁ・・・(笑)
これでハネケの筆おろしは済んだ。
次予定「ファニー・ゲーム」・・・怖ッ
- 感想投稿日 : 2013年4月27日
- 読了日 : 2013年4月27日
- 本棚登録日 : 2013年4月27日
みんなの感想をみる