覚え書き
少女時代の思い出。楽しいことも、辛いこともあった寄宿舎生活。さらさらと描かれる回想の中に、ふとまざる違和感。小さな砂粒のようなそれは、やがて残酷な、グロテスクとさえ言えるような悲しい運命となって立ち現れる・・・。いわゆる号泣するような作品ではない。だが、心の深い部分に、確かに何かを残していく作品。
捨てられた犬は、飼い主の元へとひた走る。残酷な運命を横切りながら。人生はこんなにも残酷で不条理で、なのになぜか美しい。動物のほのぼのモノをお探しの方は、間違っても手にとられないよう。
愛に関する七つの寓話。その愛の形は滑稽で残酷で、あまりに切ない。読んで吐いた方がいるらしいので、体調の良いときに読むことをお勧めする。(吐いたのはおそらく男性だろう・・・女性は多分大丈夫だと思う)
アインシュタインが見たかもしれない、時間に関する夢。三十通りの異様な時間は、不安でもあり、美しくもある。一つ仕掛けがあるのだが、知らずに読んだ方が面白い。後書きは、本編の後に読むことをお勧めします。
刑の執行を数日後に控えた死刑囚は、独房の壁に絵を描くことを希望したのだが・・・(「独房ファンタジア」)ノスタルジー溢れる短編集。
村上春樹ワールド、としか表現しようのない世界。どっぷりと浸りたい、といいつつ、私の中では『世界の終わり〜』が相変わらず彼の最高傑作であるが。
日本版『スタンド・バイ・ミー』。少年は、こういう通過儀礼を越えて、大人になるのだろう。無理やり大人にならざるを得ない(元)少女から見ると、うらやましくもある夏の日。
もとは児童書だったらしいが、児童書らしからぬ小説。主人公の少年は可愛げがなく、子どもが自分と重ね合わせて読むような人物ではない。が、子どもって実際はこうだよな、という実感がわいてくる。続きが気になる作品。
前半は文句なく面白い。最初の一行で持っていかれるのは相変わらず。後半、この世界観が好きな人にはいいんだろうけど、私にはちょっと・・・という感じ。京極夏彦の『ルー・ガルー』が好きならお勧め。
家族同然のロバが病気になったとき、孤児の少年は聖堂にお参りしてロバを救おうとするが・・・思わず涙がこみ上げ、暖かい気持ちになる『小さな奇跡』など、ハンカチ必須の三篇を収録。
ホラーではないが、背筋が寒くなること請け合いの「ゴールデンボーイ」と、映画『ショーシャンクの空に』の原作である「刑務所のリタ・ヘイワース」の二編が収録された、豪華な一冊。
切れ切れになった物語。読み解くにつれて、物語の内と外が入り混じっていく。めくるめく混沌の後、立ち尽くす驚愕の荒野。
秋の日の木漏れ日のような、透明な明るさと切なさに満ちた静謐な世界。
いかにもハリウッドぽい、と思っていたら、やはり映画化。わかりやすく、わくわくする冒険小説といった印象。こんな暗号でなぜ悩む?とつっこみたくなるシーンもあるが。
夜明け前が一番暗いという。明けない夜はない、とも。だが彼らが歩いていたのは白夜。偽りの太陽の下、明けない夜をさまよい続けた、二人の悲劇。