歴史学、生物学、社会学、人類学、心理学など、広範囲の学問知識から見た人類経済史本。
シャツを作るのにどれくらいの人が協力しあう必要があるのだろう、街を歩いていて他人に襲われないのはなぜなんだろう、といった経済生活にまつわる様々な疑問に信頼と協力がいかにして成り立ってきたかを歴史的推測などから解き明かそうとする内容。
「日常生活というのは、みんなが想像するよりずっと奇妙なもので、脆い経済基盤の上に成り立っている。これが人類の進化史の教えるゾッとするメッセージだ。」
と始まる「殺人ザル」の「大いなる実験」による変化が如何に凄いことで、また脆い基板の上に成り立っているかを鮮明に優雅に解説している。
序文で全体について、各章の前後にはそのまとめがしっかりとなされているのでボリュームの大きさに臆することなく読みこなせていけた。専門用語や業界用語も極力排されている。
人々はなぜ見知らぬ他人を信用できるのか≒経済活動を行えるのかを人の進化から見た内容で、これ以上に現代社会の成り立ちの根源を説明できるものはないと言っていいくらいに興味深い内容だった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
経済学史
- 感想投稿日 : 2014年7月21日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2014年7月21日
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