「矢吹駆シリーズ日本篇待望の第一作!」と、腰帯に記された本作。ナディア・モガールが語り手の連作本編、ヤブキ・カケルが語り手の第0号作品『熾天使の夏』と、又、別の語り口で展開される、新局面の第1作になるはず。新たな語り手は、天啓連作、他でも描かれた、架空の作家、宗像冬樹。著者本人をイメージ・ソースにしたと思える宗像と、彼の視点から描写される成長したナディアとが、推理を競い合い、矢吹について語り合う「瀕死の王」。「本格推理小説は、突き詰めることでメタ・フィクションに転じる」といった趣旨の考察を文芸批評で展開してきた笠井潔氏の、作家としての自己批評が、物語の形で紡がれた作品。じっくり読めば読むほど面白い、力作です。
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2008年12月22日
- 本棚登録日 : 2008年12月22日
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