本日は悲劇なり (角川文庫 あ 6-161)

著者 :
  • KADOKAWA (1995年6月1日発売)
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感想 : 6
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「本日は悲劇なり」
2つの短編が収録されています。


本日は悲劇なり
TVやそれに関わる人間が「例え人が死んだとしてもそれは芸能人の色恋と同じく結局は視聴率を取る為のひとつの話題にしか過ぎない」と考えている。そして彼らを嫌っている今回の主人公(TVレポーター)。そんな彼がある一人の高校生の自殺の事件をレポートすることになるが・・・というあらすじです。


結末はやはり予想した通りでした。しかし、妙にTV世界の現実と人間の悪を見た気がしました。騙される方が悪いという視点が練り込まれた登場人物には腹立たしさも立ちます。三毛猫ホームズ好きは少し嫌かも知れないですね、この短編は。


1/2の我が家
舞台はある一流企業の社員団地、主人公は若くして課長に昇進した男。そしてその妻(個人的には2人とも主人公だと感じました)。夫は課長に昇進した為に会社で問題を抱えるようになり、一方妻は団地の組合会長にまさか選ばれてしまった為に今まで隠蔽されてきた問題に気づくことになり・・・というまさに最悪な展開です。


この短編は今の現実、そしてこれからも変わらない現実(そういう社会を好んでいる人間が作る現実)を凄く突いた作品だと思います。私はそういう社会が嫌いですし、それを変えたいと思う人間です。ですので、この2人の主人公には凄く共感できました。特に妻が権力主義と戦う、そしてその主義を打ち破り友情を守る姿には震えました。


こういう切り口の赤川作品は読んだことが無いので、他のもチャレンジしてみたいです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年3月10日
読了日 : 2012年3月10日
本棚登録日 : 2012年10月3日

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