64(ロクヨン) 上 (文春文庫 よ 18-4)

著者 :
  • 文藝春秋 (2015年2月6日発売)
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「64(上)」
昭和64年に起きたD県警史上最悪の事件を巡り警務部と刑事部が全面戦争に突入。


何か月待っただろうか。図書館で積み上げられた予約が多すぎて4か月くらい経ってしまった。そして、漸く読了。まだ上巻だけど、随分な読み応えでした。


広報官三上義信を中心に描かれる警務部vs刑事部、警務部vsマスコミ。刑事部とは、昭和64年D県警管内で起きた誘拐殺人事件、マスコミとは匿名事件を起因に長官取材のボイコット騒動と、双方に因果関係が無さそうだけど、次第に徐々に絡み合っていく。


本小説は、警察小説ですが、家族愛も描かれています。娘が家出をして消息不明になり、娘と同世代の身元不明の遺体が発見されたら、自分の娘ではないかと思い、遺体確認に行く日々。妻は、娘を失って情緒に不安を抱え、彼女の為だけに生きようと思っても、警察組織はそうはさせてくれない。それだけではなく、娘を使って嫌がらせをしてくる、警察って何なんだよ。心底嫌になりますね。


娘が家出した理由が、また自分の顔で、仕舞いには病気になってしまうなんて辛すぎませんか。そして、美しい顔を持つ美那子にさえ、娘は、嫌悪と嫉妬を覚えるなんて・・・。三上だけではなく、妻である美那子に対しても、思っていた以上に見たくないような人間模様が潜んでいてちょっと嫌になります。美しいけど、自分のことを美しいと思っていないのに、嫉妬を受ける。人間って嫌なもんですね。


上巻では、徐々に真相に迫るんですが、徐々にだからか、三上を取り巻く環境がとてつもなく辛く、ちょっと読むのに耐えなくなりそうでした。とはいえ、64事件の自宅班も、警察の闇を映していて、心が痛い。


ここから一気に事件の真相へ。下巻を早く読もう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年12月20日
読了日 : 2016年12月20日
本棚登録日 : 2016年12月20日

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