組織(チーム)で生き残る選手 消える選手(祥伝社新書) (祥伝社新書 354)

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  • 祥伝社 (2014年2月3日発売)
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「組織(チーム)で生き残る選手 消える選手」
彼が生き残った理由。


プロサッカー選手の引退の平均年齢はいくつかご存知だろうか。少なくとも30歳くらいと思うかも知れないが、26歳である。非常に厳しい世界であるのは知っていたが、それにしても若過ぎるのではないか。


そんな世界で、Jリーガで39歳までプレーし、41歳まで現役として戦った選手が、吉田康弘(http://www.yoshida-yasuhiro.com)である。彼が何故ここまで長くプレイ出来たのか。その秘密が、本書に書かれている。


組織との関係、練習法、モチベーションの維持等に触れている中で、印象深かった1つを紹介したい。


第2章 自分の能力を知る
・何故、無名選手を目標にしたか。
彼がジーコと共に目標にした選手がいる。小澤英明(1992年アントラーズ入団)、GKである。


高校卒業後、入団した小澤は既に身長180cm以上あり、まだ伸び続けていた。しかし、プロとして戦えるフィジカルは、当然ながら備えていなかった。


ある日の走り込み練習でのこと。彼は10本走る所を5本目でばてていた。残り5本はダッシュと言えるスピードでは無かったのだ。そんな彼を見て、吉田は「高校を出たばかりで、こんなきつい練習についていくのは厳しいよな」と思っていた。


しかし、数ヶ月後、5本目でヘトヘトだった彼は、8本目まで物凄いスピードで走っていた。一体何故か。そこには、彼なりのスピリットが隠されていた。彼は、1本目から全力で走って、何本目までそのスピードを維持できるか挑戦していたのだ。


この限界値を常に上げる姿勢に、プロフェッショナルのマインドを見たのだ。


因みに、彼は、鹿島時代、最強の第2GKと言われていた。常にプロフェッショナルであり、手を抜かず、試合に出れば第1GKと遜色無い働きを見せるからだ。このエピソードからも、高いプロ意識がはっきりと汲み取れる。


その他、書かれている事は、比較的どのサッカー専門書でも重要視されているものが多い。しかし、小澤英明にスポットライトを当てているのは、この本だけかも知れない。


現場を体感した者しか出てこない名だろう、小澤英明を話に出すとは、いやはや説得力が増すと言うものだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: スポーツ
感想投稿日 : 2014年10月30日
読了日 : 2014年10月30日
本棚登録日 : 2014年10月30日

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