過食にさようなら-止まらない食欲をコントロール

  • エクスナレッジ (2009年11月24日発売)
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1980年代から米国人の体重が増え続けている。
食べ物が手に入りやすくなったからとはいえ、食べる必要は
ないのに、何が人々を過食に駆り立てるのか?

食べる量をコントロールできないのは、意思の力の欠如の問題ではなく、
食品産業の販売戦略が仕掛けた罠であると、FDA長官で医学博士でも
ある著者は説く。

体重変動を制限する人間の体内の動きであるホメオスタシス機構が、
近年、報酬系によって機能しなくなってきた。

報酬系とは食べることによって得られる快楽が、摂食の動機となる
嗜好性の高い食べ物のことで、通常は砂糖・脂肪・塩を組み合わせた食品。
砂糖と脂肪と塩を組み合わせた食品には、一口食べると空腹でなくても、
満腹になっても食べ続ける、また食べたいと思わせる強化作用がある。

通常、人は意識的に報酬を目標として摂食するが、強化作用によって
無意識のうちに目的がなくても、摂食が習慣化される。
(例) 帰宅したらアイスを食べたいと思う。(以前、アイスによって満足が
得られたという手がかり刺激から)
      ↓
一日中そのことばかり考えるようになる。
      ↓
帰宅してから実際にアイスを食べて、満足を感じる。
      ↓
強化作用で、何度も一連の行為を繰り返すようになる。
= アイスを食べるのが習慣化する。
      ↓
飽きる = 期待する報酬と実際に得られる報酬にギャップを感じる。
      ↓
さらに目新しい物、濃い味付け、多い量を求めるようになる。 
ますます食べ物のことを考える。食べる。飽きる。考える。。。
      ↓
脳が一連の行為を”習慣”として植えつけるため、自覚も反省もなくして、
「手がかり刺激→衝動→報酬→習慣」 という摂食(過食ではない)の
サイクルが強化作用によって繰り返される。

しかし、健全な人は、強化作用により引き起こされたサイクルを
自己抑制力で断つことができる。
一方、感覚刺激に敏感な人は、気分の変化と報酬経験の関連が強く、
自己抑制が効かなくなり、”過食”を引き起こすというわけだ。

そして、後半は過食を如何に治療するかについて述べられている。

また、著者は、この強化作用を利用して、化学調味料を駆使し、我々の
身体を変えてしまう食品を販売する食品業者のあり方に警鐘を鳴らす。

この本を読んで、自分もこの疾患を直せるかもしれないと希望が持てた。
食べることの意味を人々が考え直す必要があるように感じる。 

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 美容・健康・暮らし
感想投稿日 : 2011年3月12日
読了日 : 2011年3月12日
本棚登録日 : 2009年11月24日

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