本格ミステリー小説を読むと、読了後に違和感を覚えることがある。
「謎を成立させるために、無駄に人を殺していいんだろうか?」って違和感である。
勿論、ノンフィクションなんで、文面で何が起ころうが何をしようが勝手だということは百も承知。そこに道徳や倫理を求めると戦争小説なんて成立せんわけやし、言論の自由を抑圧する事態を呼びかねない危険な行為であることも分かる。
ただ、例えば、アリバイ成立やトリックを完全なものにするために、「Aさんの視線を塞いだら密室になるなぁ」とか「目くらましにBさんを被害者にしておけばミスリード誘えるな」とか、そういうツールとしての殺人に、人工的で無機質な冷たい違和感を感じることがある。東野圭吾作品や名探偵コナンなんかにそういう違和感を感じることが多い。
逆に言うと、日常ミステリーなんかは殺人が少ない分、違和感を感じることが少ないし、殺人事件が起きてもツールとしての殺人を上手くカモフラージュしてくれたら、その作品を高評価してしまう。
で、この作品だが…この手の類の違和感ばかりである。しかもこの作品の核心に関わる部分が違和感の塊とくる。好みの問題だと分かった上で、俺はこの作品苦手である、そして解説に書かれていることだけで判断したら、作者麻耶雄嵩も苦手である。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本小説
- 感想投稿日 : 2017年1月14日
- 読了日 : 2017年1月14日
- 本棚登録日 : 2017年1月6日
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