「暗い越流」ってタイトルの通り、なんとも暗いやるせないお話5編を収録した短編集。最初と最後に葉室晶が出てきます。そういう構成の工夫や時々出てくるユーモア表現にクスッとするものの、それらは言わばぜんざいについてくる塩昆布みたいなもんで、ダークな雰囲気を一層盛り立てる小道具にすぎず…
っていっても、露骨な表現等表面的に眉を潜めるような描写はなく、もっと現代人として生きてる俺たちの根底をグラグラ揺さぶるような暗さが怖い。
基本性善説で生きてる俺だけど、こういう本を読むと人間の本質には悪の要素は少なからずあることを思い出さされる。この短編集がオモロいということは、俺の心にも「暗い越流」があるってことやからねぇ。
とは言え、読み終わってもそうそうやるせなさを感じさせず、むしろ「あぁ暗かったひどかった」とかえって元気に現実に戻れる感じの妙味。さすが若竹七海上手いわ!
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本小説
- 感想投稿日 : 2016年10月10日
- 読了日 : 2016年10月10日
- 本棚登録日 : 2016年9月30日
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