2時間ほどでサクッと読めるし、小学生たちの物語だし、こりゃジュブナイルやな。
…と思わせておいて、実は大人読者を視野においてるあたりが、なんともニクい小説である。
まず何よりも香な子やコーモリの目を通して見る大人のカッチョ良さは大人だからこそ味わえるように書かれている。香な子の両親なんかは典型的だし、そうでなくても、モデルあがりの担任のツンデレ魅力やコーモリのお母さんの「女は努力すればきれいになれる、男は苦労してカッコ良くなる」なんて言葉もそう。
そして、香な子の読むダールや、極め付きは香な子のお父さんの蔵書、ウルフガイにヨコジュンに半村良にかんべむさしって…こりゃもう絶対確信犯。
ラストシーンは秀逸。香な子の純愛疾走とコーモリの純愛成長に大人は涙するんよね。大人だから自分の時を思い出して涙し、親だったら自分の子供たちのことを思って涙してしまう。
余談だけど、作者の名前、なんだか知ってる人に良く似てる(笑
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本小説
- 感想投稿日 : 2014年7月11日
- 読了日 : 2014年7月11日
- 本棚登録日 : 2014年7月4日
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