伝説の日中文化サロン上海・内山書店 (平凡社新書 436)

著者 :
  • 平凡社 (2008年9月1日発売)
3.38
  • (1)
  • (2)
  • (4)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 29
感想 : 6
3

内山書店の店主内山嘉吉は自ら多くの著作を残しているが、その評伝はこれまで1冊を除きなかった。本書は、内山が上海でいかにして日中の文化人から信用を得、日中の友好のかけはしとなったかを、そこに出入りした日中文化人たちの行動を通して描く。ぼくはその信用の根本に内山の気前のよさがあるように思う。ぼくたちも若くお金があまり自由でないとき、あるなじみの本屋は、掛けでたくさん本を売ってくれた。ある本屋さんは、ぼくが就職するとき30万以上も借金があったほどだ。それだけ掛けで本を売ってくれるところは今はないだろうし、ぼく自身そういうことをしなくなった。内山さんはそういう商法で逆に日中の知識人の信用を得たのである。そしてその気前のよさが、みんなを近寄りやすくさせた。要するにけちのまわりに人は集まらないということだ。もちろん、たかるだけでは乞食だが。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2009年4月4日
本棚登録日 : 2009年4月4日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする