遺書: 5人の若者が残した最期の言葉 (幻冬舎文庫 は 12-1)

著者 :
  • 幻冬舎 (2004年7月1日発売)
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感想 : 92

いじめや鬱による自殺の真実に迫る。
5人の若者のノンフィクションの〝生〟と〝死〟。

この本は、1998年にあった少年の自殺をきっかけに作られたそうです。
そして2000年に、13歳、14歳、19歳、25歳という若さで
〝死〟を選ぶしかなかった5人の若者達から、
今私達が知るべきこと・考えるべきこととして、この本が出版されました。
実物の遺書、遺族からの返信の手紙を全文掲載。
何故彼らが自殺することになったのか、取材・調査をもとに描かれ、
その後の遺族への取材も収録されています。

……今も、いじめが原因で自殺してしまう子ども達が沢山います。
そして、その彼らの命をかけた最後の訴えさえも
自分の保身のために隠そうとしたり、
事実を認めなかったり、捻じ曲げたり、責任転嫁したりと、
〝大人として〟〝人として〟決して許せないことをする人たちが
沢山居るのが、哀しいけれど現状です。
そして、この本が出てからもう何年も経つというのに、今の社会が
この本に描かれている頃と被ってしまうのが、哀しくてなりません。
このときから、私たちはちゃんと前に進めているのだろうか……?と
改めて考えさせられました。

〝命は大切〟〝死んではいけない〟
私は正直、頭ではそう考えても、〝実感〟としてそうは思えていません。
でもこの本を読んでいて、この少年達が
彼らの命を全うしようとしていたこと、必死に生きようとしていたこと、
しかしその結果として〝死〟を選ぶしかなかったことが
痛いくらいに伝わってきました。
〝命〟について考えさせられました。

(2007.05メモ→2010.04ブクログ)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: エッセイ・ノンフィクション
感想投稿日 : 2010年4月15日
読了日 : 2010年4月14日
本棚登録日 : 2010年4月14日

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