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こういちろうさんの本棚 > 双極性障害―躁うつ病への対処と治療


レビュー by こういちろうさん

 この本の対象の中心が、あくまでも旧来の「躁うつ病」、すなわち「双極性障害1型」に焦点を絞った本であるという基本前提に立つ限り、本書のまことに平明な文体は、入門書としては必要にして十分な域にあると私は考える。

 内海健氏の「うつ病新時代―双極2型障害という病 (精神科医からのメッセージ)」と比較してしまうと、深さという点では物足りない人も出てくるかもしれない。しかしそれを言うなら内海氏の本自体が類書に例を見ない域に到達しすぎた本なのである。

 むしろ、本書を特徴付けるのは、次の点であろう。

 まず、本書の後半部分で展開される、世界最先端水準の脳生理学、神経化学、DNAレヴェルでの遺伝子上の実証研究の当事者という、加藤氏の、現場臨床医とは別のもうひとつの顔で描かれている部分が、私には滅法読み応えがあった。

 まだ、パキシルの製造元の会社の、不利な情報隠蔽体質、あるいは幼児期の双極性障害ADHDに関してアメリカで子供に対して安易に薬物療法が施行される傾向の問題点、そしてアメリカでそのことを啓発する運動の先頭に立っていた精神医学者と製薬会社の癒着の問題について詳しく紹介されていることも忘れてはならない。

 なぜ薬物の治験において統計的に有意な差が出ないことが多いのかについて、意外な現実も紹介している(要するに、アメリカでは治験に応じると報酬が払われる。そのお金ほしさに病気のフリをして治験をはじごしてまわり、薬は実際に飲まないまま偽薬であろうとほんとの薬であろうと薬が効いたフリをして報告するいる輩が随分いるらしい。これでは統計上有意な差が出にくくなって当たり前である)。 登録日 : 2009年10月12日 15:03:48


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