身体が、ひりひりとふるえる。自分の血が通った言葉が見つかるまで、筆を走らせることができず、そんな状態になるのだ。苦痛ではなかった。むしろ、そんな状態を愉しんでいるのではないか、と思えることがあるほどだ。言葉を掴んだ時、心に満ちてくるものがある。生きている、という実感だった。
五千騎と二千騎の二つの軍を、三千騎で相手にする。しかも闘い方に制約がある。
肌がひりつくような危険な戦で、だからこそ自分はそれを求めているのだ、と李陵は思った。
こうして並べてみると、戦であろうが書であろうが命をかけている者は、同じように描かれている。ひりつくような緊張感、そしてそれを愉しむ姿勢。羨ましい。
読書状況:読み終わった
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漢
- 感想投稿日 : 2012年2月24日
- 読了日 : 2020年6月1日
- 本棚登録日 : 2012年2月24日
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