総外資時代キャリアパスの作り方 (Kobunsha Paperbacks Business 6)

著者 :
  • 光文社 (2007年6月1日発売)
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本棚登録 : 44
感想 : 10
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【総評】
ペーパーバック250ページに比して、下にあるフレーズの量を見てもらってもわかるとおり、この本は名著だと思う。
amazonのおすすめ度が満点なのも頷ける。自分は、大学2年生の頃にこの本に出会い、外資の世界に興味を持ち始めた。
まだ自分のキャリアを考えている所だが、4年の今、こうやって読み直してみると、本当に日系と外資とで差があることを実感する。

【気になったフレーズ】
・外資投資銀行、初年度はインセンティブのボーナス含め約1000万、2年目1500万、3年目2000万、「アソシエイト」昇格後2500〜3000万、後は推してしるべし。
・グリーンメーラー(blackmailと、ドル紙幣のgreenを合わせた造語) → 超短期的な視点でM&Aを狙っているファンドのこと。
・日本の会社では、jobが曖昧模糊。外資ではjob description , position description があり、更にワトソンワイアットなどの報酬survey会社が存在して、外部的に、jobによる市場価格が決まっている。
・外資では日本と違い、generalistを養成せず、個人の能力を特化させてspecialistを養成する。
・とりわけ女性は外資を目指せ。
・懇談会の出席者の3,4割が、女性のマネジャーだった。
・ILO(国際労働機関)によると、1998年時点で、全管理職中女性の占める割合は、日本で7.8%、米国では45%だったという。
・外資の世界では、未消化の有給休暇があると、会社の利益が減るという会計規則が存在する。
・外資の本社から日本に派遣された日本支社の社長はExpatriate(国外移住者)と呼ばれる。基本アメリカ人は欧州を希望するが、far-eastの日本に来る者は実は2流でエリートコースから外れている。しかしながら、給料は2000万ほどだとしても、居住費、車、子供の学費、医療費などが厚遇されるので、その2倍はコストがかかる。社員はリストラされても、そこの厚遇は保証されているのが普通。
・本社と日本法人の間にアジア・パシフィック地区というくくりがある。地区の本部は香港やシンガポールに置かれることが多い。そこの地区長の下に、日本の社長がいる。
・外資系の日本支社の社長はやはりローカルな日本人が多く、業界の専門知識がある人間がヘッドハントされるのが普通。専門家であるほかに、リーダーシップ、進取の気性、チャレンジ精神があって、MBAやDrをもっていると尚良い。英語ができるのは、いうまでもない。
・外資系で社長を狙いたい幹部クラスの人材は、積極的にサーチ会社にコンタクトし、登録もしている。
・外資系では、ナンバー2が、むしろ危ない。
・バナナ人間・・・見た目は黄色人種(日本人)だが、一皮むくと、白い(白人)ということで、アメリカ育ちの人間。やはり英語が堪能だと、それだけで優秀と見られる傾向がある。
・下剋上が日常茶飯事なため、部下に1対1で仕事を教える上司は少ないが、組織としての教育制度は非常に充実している。ので自己啓発に適している。
・経理などは、中国にアウトソースする例が増えている。そこのマネジャークラスは、日本語英語ができる上に、日本の会計士の資格までもっている。
・日本支社のマネジャークラスで、朝出社してPCをあけると、英文のメールが30〜40通きている。が、中身は大学入試にでるレベルより下の平易な分が多い。
・投資銀行だと、資本市場部門、投資銀行部門に分けられる。前者では、更にセールスか、アナリストか、トレーダーかに分かれる。当然債権でいくのか株式にするのか、も決める。後者では、企業金融やM&Aの専門を仕込まれる。そこで生まれるのは、就社ではなく、就職、つまり専門性を磨く、という意識。GSだとか、モルガンだとかいう意識はあまりない。
・外資系金融機関には、「ガーデニング期間」というものが存在する。会社を辞めるとき、情報が漏れないように、籍は入れたままで1ヶ月出社させない期間を設けるという。
・外資は学歴主義、資格主義、実力主義。いい大学を出たりMBAを持っていると、とりあえず入社は楽になる。入ってからは実力主義となる。MBAにUSCPA(米国公認会計士)、CIA(公認内部監査人)、不動産鑑定士、シスアド、セラピストなどの資格が加わると、鬼に金棒状態となる。
・MBAは論文提出に重きを置く日本のそれと違い、スキルを学ぶ。会社に勤めてから取る人の方が圧倒的に多い。
・アフターファイブは同僚、上司とも互いに無縁。飲みにケーションが通じるのは日本だけ。
・日本企業はゲマインシャフト(共同体社会)、外資企業はゲゼルシャフト(利益社会)。
・アメリカでは32歳までに平均8回転職する(米国労働統計局)。
・ビル・ゲイツの資産は、アメリカの下から45%の人たちの総資産を上回っている。
・ボーダレスとなった世界の舞台で活躍する時代がやってきた。狭い殻に閉じこもって我慢するのは、もはや美徳ではない。冒険は若い人の特権なのだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス本
感想投稿日 : 2009年9月24日
読了日 : 2009年9月24日
本棚登録日 : 2009年9月24日

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