副島隆彦氏のニーチェ入門本。ニーチェの人となりや交友関係の紹介に重きを置くとともに、「ツァラトゥストラ」のような主著よりも、「アンチクライスト」、「悦ばしき知識」「この人を見よ」などのニーチェの思想の核心がより明示的に語られている本の主張を紹介している。
ニーチェは、キリスト自体を尊敬してはいたが、キリスト教(実質的にパウロ・ペテロ教、特にローマ教会カトリック)の善悪の設定にとらわれず、自分自身の運命を引き受け肯定すること(自己愛amor fatiと円環の永遠回帰の思想)を主張した。なお、ニーチェの説く善は、古代ギリシャのディオニソス的で人間の悦び、快楽を追求するが、同時にアポロ的(健康、健全)で過度を戒めるものであった。
それは別の宗教の提示ではなく、自分で善悪を自己決定する態度の奨励であった。
読書状況:読み終わった
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教養
- 感想投稿日 : 2017年9月10日
- 読了日 : 2017年9月10日
- 本棚登録日 : 2017年7月9日
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