山崎直子宇宙飛行士の配偶者で、ご自身も国際宇宙ステーションの管制官目指して働いてきた山崎大地さんの半生記。
直子さんとの出会いから交際・プロポーズ・新婚生活と、読者がが赤面するベタ甘のストーリーは、育児・親の介護・直子さんの長期海外出張を転機に、シリアスな展開に。
自分の夢を一時中断して退職してアメリカへ渡る大地さん。渡航先では身分証明が得られず、就労どころか自身では携帯電話の契約もできない八方ふさがりの現実。
夫婦で宇宙の夢を追うはずが、宇宙飛行士の夫という立場に縛られ、やがてはうつ病や自殺未遂、別居に離婚調停という七転八倒の生活に至ります。
家族生活を一方の立場から記した部分は、賛否あるかもしれませんが、あえてプライベートを公開した勇気は評価します。アメリカでも宇宙飛行士の離婚率は高いと言われ、NASAも家族サポートを充実させていますが、日本も「宇宙が職場」である時代を迎えるにあたり、山崎さん一家の経験を真摯に受け止める必要があると思います。
家族が再び結びつき、直子さんのフライトに一丸となって取り組むところで本は終わります。
これは物語の終わりではなく、宇宙を目指す一家の夢の途中。中断したままの大地さんの夢、直子さんの次の夢、娘の優希さんの将来の夢。それぞれの目標に向かいつつ、家族のあり方を模索する日々が続くのでしょう。
前向きな気持ちで読み終えることが出来る本です。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
宇宙開発・宇宙科学
- 感想投稿日 : 2010年4月16日
- 読了日 : 2010年4月16日
- 本棚登録日 : 2010年4月16日
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