レビュー by kazuoeさん
マッターホルン、アイガー、グランドジョラスの三大北壁冬季単独登攀をした長谷川恒男さんの本。 彼がパキスタンで雪崩にあって亡くなってから15年がたつ。 彼は、山に「登る」のではなく山に「とりつく」という表現を使う。 巨大な氷の垂直な壁を、まるで虫がとりつくように、登っていくのだ。 行きたくない、怖いと思いながらも、研ぎ澄まされたような感覚で、取り付かれたように山に向かっていく。 氷を削って、寝る場所をつくり、氷の上でビバークする。寒さ、孤独、恐怖を乗り越え、自然と一体になった時に登頂することができる。 それは、まるで修行僧の心のありようにさえ似ている。この本の間に挟まれた写真、それは白黒の写真なんだけれどどれも美しい。山の高貴さ、尊厳、怖さが伝わってくるような写真だ。 しかし、植村直巳さん然り、長谷川恒男さん然り、そして、日本のみならず世界の登山家が数多く、山で遭難している。 自然の中では人間のなんとちっぽけなことか。いどんでも、いどんでものみ込んでしまうような大きさだ。
登録日 : 2007年01月20日 22:56:39


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