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kazuoeさんの本棚 > さぶ


レビュー by kazuoeさん

 5

またずっと同じ作家のばかり読み出してしまった。しばらく山本周五郎にはまっていくかもしれない。 文庫の裏書を見ると、はじめの私の中のブームは結婚する前次は今から12年くらい前。 読みたくなるとしばらく続くがそのうち、戦前のものにいきあたったりし、良妻賢母や(好きな「花筵」はまさしくこれで矛盾するけれど)、武家の、何よりお家大事という思想にまとわりつかれるとその古さに嫌気がさしてきて、そのうち読まなくなる。 年数がたつと、内容を忘れてしまうこともあり、いったん手にとると再び、彼のおもしろさに再びはまっていく。 名もない市井の人々を描いた作品は、現代にも合い通じる点があってあまり古さを感じさせない。 どうしてこんなにいきいきと今見てきたかのように書けるのだろう。部屋の間取り、置いてある道具路地の様子、まるで映像を見ているかのように、頭に描けるのだ。 このそしてこの「さぶ」は、表題のさぶよりも、むしろもう一人の人物、栄二の物語のようでもあり、彼の心もちを、精神状態を、じっくりと描いていく。でも、さぶあっての栄二、栄二あってのさぶ。愚図でのろまだけれど、全く誠実なさぶの純粋な行動は、私を最後の最後までひきつけてやまない。 とにかく読み出したらやめられない。先を読みたいが、読んでしまうのが惜しい。明日仕事中に猛烈に眠くなるのが恐くて、もうやめよう、とやっと本を閉じる。
登録日 : 2007年01月20日 23:33:30


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