レビュー by kazzashさん
もう何度も読んでいるけども、何度目でも面白い。
新しい認知の理論・・・といえど、この本を佐々木正人教授が描かれたのは1994年。
もう18年にもなるのか・・・
しかし、ギブソンが提唱したアフォーダンス理論は、たしかに知覚の理解に変革をもたらしたと思う。
この本はアフォーダンス理論の導入本として、かなり分かりやすく説明されている。
ギブソンの半生とともに、彼が辿ったであろう思考過程にならい佐々木正人教授のフィルターを通し、話が進められているので、ドラマチックで惹き付けられる。
この本はアフォーダンス理論の理解とともに、人間・動物に対する理解をもたらすと思う。
何度読んでも、アフォーダンス理論というのは人間味のある理論だと感じる。
人間は環境から刺激を入力し、それを中枢で加工することで意味のあるものにすると考えられていた初期の科学の中心理論、認知の「情報処理モデル」。そこからギブソンの理論(生態学的認識論)では、情報は人間の内部にではなく人間の周囲にあると考え、知覚は情報を直接手に入れる活動である、と。そして、わたしたちが認識のためにしているのは、自分を包囲している環境に情報を「探索する」ことなのである。
すべてが脳の中で方付けられているのではなくて、持続する「変化」のなかから「不変」なものを知覚する能力、環境に内在する行為の可能性、という具合に個体と環境とが相互に絡み合い行為を可能にしていること。そういったことを学ぶことができたと思う。
話を通じて、エピローグとプロローグに紹介されているロボット(AI)の対比は、知性とは何かを深く考えさせられる。
また、佐々木正人教授のギブソンに対する愛も感じられる、心あたたかい本でもあると思う。
レビュー登録日 : 2012年01月14日
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