痴呆を生きるということ (岩波新書 新赤版 847)

著者 :
  • 岩波書店 (2003年7月18日発売)
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本棚登録 : 274
感想 : 34
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※法改正により「認知症」が正規の名称とされているけども、やや古い本なので、タイトルまま。

認知症の妻と過ごした作家 耕治人(こう はるひと)の三部作や、認知症を患った本人クリスティーン・ボーデンさんの著作も深くとり上げて解説しておられる中で、外部から観察した認知症に焦点を当てるだけではなくて、彼らの中に入っていこうとする試みがみられる。
その上で、認知症を患う方をどのように見て、どのように接していけばよいかといったケアに関る提案もあり勉強になる。
これは、認知症に限らず、医療全般においても、あるいは社会生活全般においても重要なことかもしれない。

徘徊やモノ盗られ妄想といった、いわゆる周辺症状に多くの頁が費やされているが、どのようにそういった症状を考えていくかという点は非常に重要だと思う。
その反面、あまりできていないことなのではないかと感じることもあるし、反省もある・・・。

各章の扉には、認知症を患う方の写真が掲載されている。これをみても、著者の人間に対する愛着が感じられた。

終章において、著者自身が、癌を宣告されていることを打ち明けられているが、どことなく清々しさを感じた。
(※著者は2008年逝去)
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【内容(「BOOK」データベースより)】
痴呆を病む人たちは、どのような世界を生きているのだろうか。彼らは何を見、何を思い、どう感じ、どのような不自由を生きているのだろうか。痴呆老人の治療・ケアに二〇年以上携わってきた著者が、従来ほとんど論じられてこなかった痴呆老人の精神病理に光をあて、その心的世界に分け入り、彼らの心に添った治療・ケアの道を探る。
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【目次】
第1章 痴呆を病む、痴呆を生きる
第2章 痴呆を生きる姿
第3章 痴呆を生きるこころのありか
第4章 痴呆を生きる不自由
第5章 痴呆のケア
終章 生命の海
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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年10月23日
読了日 : 2013年10月18日
本棚登録日 : 2013年10月18日

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