雨ン中の、らくだ (新潮文庫 た 100-1)

著者 :
  • 新潮社 (2012年5月28日発売)
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感想 : 23
5

落語家立川志らく(たてかわしらく)による書。
単行本が出されたのは、立川談志(1936年1月2日 - 2011年11月21日)がご存命のとき。
談志亡き今に読んでも、(いや、今だからこそか)かなり心に迫ってくる、志らくによる談志へのラブレターだ。

18章のタイトルはすべて落語の噺(はなし)で、それぞれに立川志らくの解説やその噺に対する思い入れが描かれている。

同じく立川談志の弟子、立川談春も『赤めだか』を執筆されている。

この「雨ン中の、らくだ」は、もともとの企画では「談志音源全集」だったものが、企画変更したもの。
談春の『赤めだか』が談志落語の「イリュージョン」「帰属論」について書かれていない・・・『ならばそこを私(志らく)が』ということで書こうと思い立ったとのこと。『談志から何を教わったか、そしてそれをどう受け止めたかを書いてみようと』した『志らくの談志論』ということだ。

内容は、志らくの落語に対する考え方や解説のみならず、志らくの落語家人生と談志のそばで歩んだ奇跡が描かれている。
描き方が美味い!
非常に読みやすく、落語ファンのみならず楽しめると思う。

時に笑い、時に感嘆、時に涙・・・
まえがきには、名人宣言をした談春の『赤めだか』と、狂人宣言をした著者志らくのこの本を比較して『泣かせませんよ』なんて書かれていたのだが、けっこうグッとくるものがあった。

タイトルの『雨ン中の、らくだ』はあまりにも深い・・・。

※ちなみに、文庫本17頁にある題字(単行本には表紙にある)は立川談志によるもの。

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【目次】
第一章 松曳き
第二章 粗忽長屋
第三章 鉄拐
第四章 二人旅
第五章 らくだ
第六章 お化け長屋
第七章 居残り佐平次
第八章 短命
第九章 黄金餅
第十章 富久
第十一章 堀の内
第十二章 三軒茶屋
第十三章 やかん
第十四章 天災
第十五章 よかちょろ
第十六章 源平盛衰記
第十七章 金玉医者
第十八章 芝浜
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読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年5月31日
読了日 : 2012年5月31日
本棚登録日 : 2012年5月31日

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