超高齢者医療の現場から - 「終の住処」診療記 (中公新書 2142)

著者 :
  • 中央公論新社 (2011年12月17日発売)
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感想 : 4
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著者はとある総合社会福祉施設の中にある病院の病院長。
患者さんとの事例をもとに、医療・介護保険制度や疾患・障害の解説をされている。とともに、医療現場の苦悶や期待を飾りなく吐露されている。また、制度に対する意見だけではなく、医療や介護サービスを受ける方達に対するメッセージも数多くある。
一般の方にも現場で働いている方にも興味深い内容だと思う。

抽象論ではなくて、実際に現場で遭遇する事態についても分かりやすく話しを進められている。

僕自身、介護保険についての知識は曖昧な点が多いので、総論としてまとめてあって助かった。
また、話は尊厳死や安楽死、リビング・ウィルについても言及されているので興味深かった。

あとがきは2つある。
■おわりに おだやかな超高齢期とリビング・ウィルの普及を期待して
■あとがき:東日本大震災に見舞われて

出版の構想が固まり始めた矢先の被災だったとのことだ。

この「おわりに」「あとがき」だけを読んでも、著者の人間に寄り添う姿と、現実にどう生きるかの優しいまなざしに触れることができると思う。

漫然とした高齢者医療の現場を記すのではなくて、刻々と変わる臨床現場の「現在」に則して書かれているので、データも話題も新しい。(ちなみに、本書の発行は2011年12月20日である)
いま読んでおいて良かったと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年1月5日
読了日 : 2012年1月5日
本棚登録日 : 2012年1月5日

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