介護ヘルパーは見た (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎 (2012年9月28日発売)
3.44
  • (3)
  • (12)
  • (19)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 108
感想 : 21
5

副題にある「世にも奇妙な爆笑!」に不謹慎さを感じながらも手に取った一冊。
しかし、介護の現場を伝えることには成功していると思う。
けっして”爆笑”ではないと思うし、安易にこの語を選択したのではないらしいことが窺える。
介護の現場、高齢者や特に認知症の方達との接し方などについて、一方公的にノウハウを伝えるのではなく、体験談を成功例・失敗例・反省なども交えながら語られているので、非常に読みやすかった。

冒頭、著者はホームヘルパーという語にこだわっていることを記されている。ホームであること、「生活援助」が要であることを通説に感じておられるのだ。タイトルにある「介護ヘルパー」は馴染みのない方にも分かりやすいようにとの配慮だ。
この本を読むと、著者の「ホームヘルパー」に対するこだわりが分かる。

認知症の方に接した実例とともに、必要な(そして可能な)対応についても述べておられる。

総括すると、いかにその方の世界に入り込めるか…と言うことになると思う。そして「深刻にとらえずにおもしろがること」としている。
また、介護保険の基礎知識も奇麗にまとめられている。利用者の視点から、どのように認定調査に臨めば良いかというアドバイスもよかった。

急性期医療現場で働く僕としても、新鮮な情報が手に入りよかった。それは学術的な話ではなく、現場のリアリティに対してである。
また、これから介護の現場に遭遇するであろう一般の方や、介護を受けられる方、そして現場で働く人に対しても一度目を通すべき内容だろうと思う。

もう一つ付け加えるとしたら、このように動けるホームヘルパーさんがおられるということに勇気づけられた。

----------------
【目次】
第1章 介護はある日、突然やってくる
第2章 恐るべし、認知症
第3章 コツさえわかれば、認知症はこわくない
第4章 やっかいなのは認知症だけじゃない
第5章 介護でわかる家族の素顔
第6章 介護を乗り切れる人、つぶれる人
第7章 介護保険制度をうまく利用するコツ
第8章 ヘルパーが見た介護業界の現実
----------------
内容紹介(Amazonより)
お年寄りたちの禁断の世界へようこそ。
介護を楽しく乗り切る方法を伝授!
親の介護は決して他人事ではない。
統計によると75歳以上の4人に1人は一人暮らしが困難となるからだ。
では実際に在宅の介護現場ではどんなことが起こっているのか?
1人になると寂しくてウンチをこねくり回すおじいちゃん、
ありったけの宝石を身につけてお風呂に入るおばあちゃんなど、
想像を絶する世界がそこにはあった!
20年以上介護ヘルパーとして働く著者が、
これから介護する人、介護される人が直面する現実をリアルに伝える、衝撃の一冊。
----------------
内容(「BOOK」データベースより)
親の介護は決して他人事ではない。統計によると、75歳以上の4人に1人は、一人暮らしが困難となるからだ。では実際に在宅の介護現場ではどんなことが起こっているのか?1人になると寂しくてウンチをこねくり回すおじいちゃん、ありったけの宝石を身につけてお風呂に入るおばあちゃんなど、想像を絶する世界がそこにはあった。20年以上介護ヘルパーとして働く著者が、これから介護する人、介護される人が直面する現実をリアルに伝える、衝撃の一冊。
----------------

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2012年10月10日
読了日 : 2012年10月9日
本棚登録日 : 2012年10月4日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする