1989年英国最高の文学賞ブッカー賞受賞作。
30年間、品格ある執事の道を追求し続けてきたスティーブンスの第一次世界大戦から第二次世界大戦の間を中心とした回想録。
長年仕えたダーリントン卿への敬慕、邸内で催された重要な外交会議の数々、執事の鑑だった亡父、女中頭のミス・ケイトンとのやりとり等々。
「品格の有無を決定するのは、自らの職業的あり方を貫き、それに堪える能力だと言えるのではありますまいか」
翻訳とはいえ控えめながらも力強い語り口が絶妙で、物語の世界に引き込まれる。
一人称の語りにより、徐々に明らかになっていく、ダーリントン卿や女中頭のこと、自らの生き方・姿勢。
なんと形容したらいいのか、余韻の残る作品である。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
カズオ・イシグロ
- 感想投稿日 : 2017年10月9日
- 読了日 : 2017年10月8日
- 本棚登録日 : 2016年4月10日
みんなの感想をみる