セックスと障害者 (イースト新書)

著者 :
  • イースト・プレス (2016年4月10日発売)
3.94
  • (5)
  • (8)
  • (2)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 119
感想 : 14
4

ホワイトハンズという障がい者への性的介助サービスを行う団体の代表である著者が、障がい者と性の問題について様々な角度から実態と問題点を書いた一冊。

障がい者の性について、教育・犯罪・家族・マイノリティー・歴史・恋愛・結婚など様々な視点から書かれており、非常に勉強になりました。
そのなかでも障がい者の子供の話は印象に残りました。
また、性という人間において最もデリケートで、かつ誰もが持つものについて、障がい者において性とはどのように扱われてきたのか知ることができました。
そして、障がい者の性の問題を解決するために著者が行うホワイトハンズをはじめとした様々な支援団体があることやその活動内容から実態と様々な問題があることも知りました。
刺激的なタイトルの本書ですが、内容は非常に考えさせられるものが多く、障がい者同士の相互理解が乏しいなど今までの自分の認識が大きくズレていると感じるところも多くありました。

バリアフリーやLGBTについての理解は以前に比べると広がってはいますが、まだまだ偏見や無知な部分が多く、障がい者にとって自立することのできる生きやすさが感じられないところはあると思いました。
そして、本書の著者が行うホワイトハンズという障がい者の性的支援を行う団体を通じて障がい者の人間としての尊厳的な部分に触れ、そこから支援される立場ではなく自立するためにどのようにしていくべきかを深く考えさせられました。

障がい者にとって利他的な精神を持つために、ひとりひとりが社会的な問題として捉えていくことが大切であること。そこから自分にできることを行い、結果を積み重ねていくことが健常者との性についてのズレを解消し、自立するための道筋を照らしてくれるのでは無いかと本書を読んで強く感じました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会福祉
感想投稿日 : 2017年7月10日
読了日 : 2017年7月10日
本棚登録日 : 2017年7月10日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする