レビュー by keikonishiさん
仕事で急遽、これからの日本社会における「幸せ」研究をすることになって、今年出た、山田昌弘氏&電通チームハピネス著「幸福の方程式」を読了したのだが、これがなかなか面白い。消費なき幸せ探求の時代に、ブランドはどうあるべきかについて考えさせれられた。示唆に富む記述を引用しておく。
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新しい「幸せの物語」は、モノを買うことによってモノの向こう側にある幸福を手に入れるのではなくて、幸福そのものを直接得る、という回路だ。そのとき消費は、幸福のストーリーに必要な商品を買うことではなく、幸福のストーリーをサポートするためのものとなる。
「○○したい(車に乗りたい)人」はかつての物語に乗って、消費に喜びを見出せる人。「○○できれば(車に乗れれば)いい人」はもはやその物語を失って、従来の消費生活から離れようとしている人です。この両者の差、心の温度を引いた差が、社会で失われた消費の喜び(=幸福感)ではないでしょうか。
ダニエル・カーネマン教授によると、幸福にはフローの幸福とストックの幸福がある。前者は、自分に好ましい刺激を受けたときに刹那的に感じる幸福。後者は、一定の期間安定している幸福感。多くの思想家が説いていることを要約すると、フローの幸福よりもストックの幸福を重視せよということになる。
ストックの幸福に注目すると、幸福感は、今まで生きてきた人生の時間の中で、あるいは1日24時間の中で、夢中になれる時間がどれだけあったかという割合によって決まると考えられます。「幸福の濃さ」という感覚でとらえた幸福を解く鍵を、「時間密度」と名づけてみました。
マーケティングには、「ラダリング」という(商品ニーズ~価値観に梯子登りする)分析の手法がある。しかし最近は、この手法では扱いにくい商品、それほど欲しくないけど買わざるを得ない、はしごが上に伸びていかない商品が増えている。つまりはしご登りではなく、はしご下りになりつつあるのだ。
オバマ大統領の選挙活動は、著名アーティストや俳優が自主参加したが、その理由は「自分たちがアーティストとしてやりたかったことを、彼が政治でやっていたからだ」と答えている。つまり、社会に人々の連帯を作り、社会をよい方向に変えていくという同じ目標を持っていたからだ、といっている。
今日の幸福につながる消費の2つ目の物語は、「社会に貢献する物語」だ。それは、社会や自分の生活にサステナブルな視点を持ち込み、「自分が生活すればするほど社会が良くなっていく」という実感を楽しめる、ギルティ・フリーな生き方を意味する。
わたしたちはまだ、人口が減少し始めていることのインパクトも充分に理解していない。2020年頃になると、年間で70万人も人口が減少、つまり毎年、島根県と同じ程度の人口が減っていく時代が確実にくるというのに。
レビュー登録日 : 2010年05月05日
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