レイン (1) (アルファポリス文庫)

著者 :
  • アルファポリス (2009年4月30日発売)
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本棚登録 : 567
感想 : 60
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Amazonでの評価の高低の激しさに興味をもったところ、古本屋で安くなっていたので購入。はじめの数ページで地の文の素人加減と登場人物の子供っぽさにハズレを引いたかと思ったが、そういうものだと割り切ればネタとして楽しめた。
小学生あたりの男の子であればレインの無敵さに自分を重ね、女の子であればシェルファの恋心に憧れを抱くのだろう。児童文学として読むには大人の描写が弱い。王一人を殺すため、のこのこ4人で姿を現し、一人が声を掛け、他の3人が「そうだ、そうだ!」と同調し……と既にここまででツッコミどころが満載だ。反逆するなら多くの人を味方につけられる場所で、暗殺するなら目立たず人目につかない場所で行うべきでしょう。「そうだ」の同調合唱など、どこのジャイアンとスネ夫かと思ったw
地の文で「でっかい」を使ったり、ちゃんと校正が入っているのか疑問に感じた。副詞の使い方や話し言葉が引っ掛かる。登場人物が「レインと周囲の人々」と「その他大勢」にきれいに二分されている。

筆者の紡ぎたい物語は伝わってきたので、その意味では楽しめた。
最強主人公の無双劇、夢見るヒロインの憧れで突っ走る恋、彼らを慕う周囲の人々、ってところを書きたいんだろうなぁ。中高生が思うままに書き綴った自分の世界、というところか。主人公が姫さんに再会するまで何故サンクワールに仕えていたか分からないし、王を見殺しにしてから出陣する理由も分からない。はじめから霧を発生させて一騎打ちすればいいじゃない!
王も騎士も国を背負う者としての覚悟がなさすぎる。貴族の平民に対する差別意識を書く割には、門閥の派閥争いなどが予想されていないし。そもそもサンクワール王が殺されたら内乱が起こるとは考えなかったわけ?
城に勤めている者が逃げたというが、逃げるところがない者はどうする?
レインが半年の修行でドラゴンスレイヤーになれたのも謎。普通の少年がなれるくらいなら、彼より経験を積んだ騎士ならすぐなれるんじゃないの?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ファンタジー
感想投稿日 : 2013年8月17日
読了日 : 2013年8月17日
本棚登録日 : 2013年8月17日

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