時たまあのメーヴェのように飛べたらと思ってやまないことがある。マンガではどうしてもあの風にのる鳥のような肌ざわりは感じられない。
制作当時の状況はよく知らないが、ある決まった時間にナウシカのことを詰めこむということはかなり苦労したと思う。それでも、エッセンスは余すとこなく詰められていて、観ていても、こういう世界なんだと不思議とわかってしまう。腐海の働き、蟲の存在、蒼き清浄なる大地への道のり、アニメだからこそできる。
ナウシカの行いというのは、ことごとく聖人のそれと同じような気がする。対立し悩み苦しんでいるのなら、まず自分が行って、対話へ導く。それでもだめなら、丸腰で愛をもっていたわる。族長だからとかではなく、目の前に生きている人間を愛しているからできる。それと同時に人間の汚れを浄化する腐海を、そしてそこを守る蟲をも愛している。
人間と蟲とは相いれない。共に生きることはできない。けれどそんな対立が、ナウシカという人物がいるからこそ解消される。だからこそ、彼女は伝説の存在となれるのだ。
マンガでは彼女のそんな存在ゆえにどこまでも孤高であるが、映画だとそういうわけでもなく、風の谷の日常が展開されるところが、この映画をマンガと違って人間臭くしてくれる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
映画・アニメ
- 感想投稿日 : 2016年1月26日
- 読了日 : 2016年1月26日
- 本棚登録日 : 2016年1月26日
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