『チョコレート工場の秘密』の翻訳者、柳瀬尚紀氏が
島根県のいわゆる「僻地」に出向いて、小学生に出張授業をする。
本書は、著者が授業をするまでの経緯と、
実際の授業を文章で実況中継したもの、
そしてかつて授業に参加したこどもたちが中学生になってから
行った「空想授業」について書かれている。
書店網の充実がむずかしい僻地で、移動する本屋を経営している
女性の熱意が実を結び、著者が島根県へやってくる。
著者は無類の僻地好き。
都市部にはもういないのではないだろうか、素直なこどもたちの存在に
いたく感動を覚える著者。
土地と著者が相思相愛になる。
日本人が外国語を学ぶには、まず日本語を学ぶことが必要だという。
とはいえ、なにも日本語を研究せよといっているわけではなくて、
身近なものに興味をもち、興味をもったらさらに次のステップに進んで
自分の世界を広げていこう、と教える。
そのきっかけが、自分たちが普段使っている日本語であるということ。
外国語の翻訳者がいうことだけに、説得力がある。
~本文抜粋~
『きみたちとぼくは初めて会ったのに、しゃべれば通じ合える。
実際に約束したわけじゃないのに、言葉は通じ合えるっていう約束を
もともと交わしていたんですね。』
そう、話せばわかる、のだ。
メールでコミュニケーションをはかる都市部の若者たちの存在を考える。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2011年4月19日
- 読了日 : 2011年4月19日
- 本棚登録日 : 2011年4月19日
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