アニメがあまりにスタイリッシュだったので、耐えられなくなって原作も。
やっぱり、アニメ化されたり映画化されたりしたものは、アニメ(映画)→原作の順だと、そこまで失望もしないので安心して読めますね。逆だと、がっかりすることも多いので。
アニメでは説明しきれなかった箇所を丁寧に読めたのが、一番の収穫だったかもしれません。全体的に抑えたトーンが流れる文章で、普段は読まない時代の、普段はおつきあいのない方々が主人公の話だったのですが、そんなことを微塵も感じさせない文章で、すごくすごく楽しかったです。
読みやすい文章=平易な文章、という図式は必ずしもあてはまらないと思うのですが、柳氏の文章は、読みやすい文章=リードされていることを気付かせない巧妙な文章であって、なんといえばいいのか、人間的にとてもできた大人に包まれて移動させられているような。そんな絶対的な安心感を覚えました。
しかし、スパイは本当に本当に孤独な職業ですね。ひと嫌いとはまた違うレベルでの、断絶と隔離を自ら選び続けるのは、精神性がかなり訓練されていないとダメなんだろうなと思いました。
「幽霊」でのラストは、なんだかやるせなくなる感じ。年単位で利用できる可能性をじっと脳に温め続けるのって、冷酷という言葉では片付けられない、なにかとても非人間的なものを覚えます。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
和書(や行)
- 感想投稿日 : 2016年6月14日
- 読了日 : 2016年6月14日
- 本棚登録日 : 2016年6月14日
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