トリック?と呼んで良いものか、物語の鍵となる部分だけはかろうじて覚えていたものの、細部にいたってはほとんど忘れていたのが現状、という2度目の読書。
ここにいたるまでにすでに15冊の本を書いていたということと、まだデビューから3年ほどしか経っていないということ、そしてこれが90年代に書かれたにもかかわらずその内容がとても前衛的(というか未来を予見したものというべきか)だったことに、軽い目眩を覚えました。
最近の森博嗣作品を読んでいると、やけにスケールがでかいというか、妙に派手なロケーションではありますが、なるほど、そういうことのためかと最後は納得いかせるあたりがさすがです。
ネタバレをせずにどうやってレビューを書けば良いのか悩みますが、衝撃のどんでん返しがやってきます。そこから読み進めていくと、頭の中は必ず、これまで読んできた箇所に意識が飛んでいくはずです。
あれ?え、じゃああそこは、どういうこと?
え?じゃあ、あれは、読んだままじゃなかったっていうこと?
え?え?どういうこと?じゃあ、あれは?どうなってたの?え?もしかして、あれも?
それを確かめるためには、たぶん、読み終えたすぐ後にまた初めから読まないといけないのだとは思うのですが、なにせラストが秀逸すぎて魂の抜けた殻のような状態になってしまうため、しばらく無気力状態に。
読んだ後にどれだけ残り香を残せるかが、名作の分かれ道だと思うのですが、これは名作ルートをまっしぐらです。
そして蛇足ではありますが、森博嗣初心者の方々は、これを読んだ後に水柿助教授シリーズをお読みになられると、森博嗣という方の振り幅の広さを体感なさると楽しいかと思います。
そういえば、昔、森氏のブログか新書のどちらかで「森先生は二重人格なのですか?」との質問に対し、森氏は「失礼な。そんなに森は単純ではありません」とお答えされていて、しびれました。
- 感想投稿日 : 2016年5月31日
- 読了日 : 2016年5月31日
- 本棚登録日 : 2016年5月31日
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