ゆれる [DVD]

監督 : 西川美和 
出演 : オダギリジョー  香川照之  伊武雅刀  新井浩文  真木よう子  木村祐一  ピエール瀧  田山涼成 
  • バンダイビジュアル
3.97
  • (590)
  • (645)
  • (509)
  • (57)
  • (5)
本棚登録 : 3214
感想 : 619
5

これがカンヌで高評価というのは、大いに納得できる気が。そして、プロデューサーが是枝監督というのも、これまた大いに会得がいきます。
女性が描くラブシーンは生々しいですね。妙なファンタジーを入れこむことなく、かといってエロ一辺倒にならないところが、女性っぽい。というか、全編通して女性っぽい切り口だなと思いました。演出や内容、それからどこか冷めた風な深い愛も。
今まで観た中で、ベスト・オダギリジョーだと思いました。本当に演技が自然で、目の隈が目立つのに瞳がキラキラとしていて。ちょっと狡くて、ちょっと甘えん坊で、天才肌で小器用で、人を踏み台にすることの代償に無頓着で。
香川照之も怖かった。何度見ても、瞳を覗き込んでも何の感情も伝わってこなさそうなあの顔。笑顔を作るまでの不自然な数秒間が、余計怖い。
そして、そういった二人の役者の演技がもたらすアンバランスさが、解釈の幅にも大きなゆらぎをもたらして、一つの結論にたどり着けない。あのエンディングも結局どういう意味だったのか、あの後どうなったのか、想像できるけれど、確信が持てない。あの事件も、一体何が「真実」だったのか分からない。
でも、それが本当の「真実」なのではと思ったりもします。某小学生探偵が「真実はひとつ」と言っておられますが、事実はひとつでも、真実は人の数だけあるのでは、と。ひとの心は奇妙に歪んでいて、多角的にならざるを得ず、それ故に、理解し難い境地にたどり着いたりして、すべての人間を納得させるのはとても難しい。だからといって、それを諦めろということではないでしょうが。
あ。あと、新井浩文は良い役者ですね。あのちょっとヤンチャしてますみたいなバイトから、家庭を持った7年後まで、同じ人間の時間の移り変わりを一瞬で表していて、陰の功労者は彼なんじゃないかと思いました。実際、ある意味でのキーパーソンだったんじゃないかと。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 邦画
感想投稿日 : 2014年6月1日
読了日 : 2014年6月1日
本棚登録日 : 2014年6月1日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする