段ボール箱の中を頭からすっぽり被り、街を徘徊する箱男。
ラジオを箱の中に持ち込んで、ニュースを聴いて、外界との接点を保ちつつ。
次第にニュース中毒になっていく。
『昨夜B52による本年度最大の北爆が行われました、でもあなたは生きています。ガス工事中引火して八人重軽傷、でもあなたは無事に生きています。物価上昇率記録更新、でもあなたは生き続けています…』
初読は15年前なんだけど、それ以来オイラもニュースはこういう風にしか聞こえなくなっちゃったよ…
でもこれって、本当のところを突いているよね??
自分の身の安全の再確認でしかないんだよ、結局ニュースなんて。
特にオイラより上の世代なんてテレビっ子なはずだから、皆ニュースを見て育ったのでは。
きっと若年層では、それがケータイメールなんだろうな。
友達にメールして、返事が返ってくれば、(まだ独りじゃない)ってことなんだろう…
安部公房の小説が難解だとかアバンギャルドだってよく聞くけれど、そんなこと言う人に限って、本質なんかちっとも捉えていないんだろうな。
確かに解りやすいとは言わないが、とにかく凄まじいパワーに圧倒されるので、一度その中にどっぷりはまるのも割と心地よかったり。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2013年3月12日
- 読了日 : 2008年6月28日
- 本棚登録日 : 2008年10月5日
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