今や、すっかりこのシリーズに嵌ってしまった。
江戸の市井の賑わいや、そこで暮らす人々の人情に、見たこともないのに懐かしさや憧憬を抱いてしまう。
秋山父子のキャラクターはもちろんのこと、彼らの周りの人々の造形も回を重ねるごとに、深くなっていき、愛着が湧くのだ。事件が起きるたびに彼らの活躍に胸を躍らせている。
特に普段は飄々としている秋山小兵衛だが、
「わしはな、大治郎。鏡のようなものじゃよ。相手の映りぐあいによって、どのようにも変わる。黒い奴にはくろ、白いのには白。相手しだいのことだ。これも欲が消えて、年をとったからだろうよ。だから相手は、このわしを見て、おのれの姿を悟るがよいのさ」
時に冷酷に豹変するその様に惚れてしまうのだ……
現代ではなく、この時代に生まれたかったと思わせるくらい楽しい物語だ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2013年10月18日
- 読了日 : 2013年10月18日
- 本棚登録日 : 2013年10月18日
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