社会問題を題材に、池袋の若者の今を描くシリーズも9作目。
格差社会の下半分で必死に生きている人々に訪れる不幸な事件の数々。どの物語も、弱者が弱者から奪う構図になっている。
石田衣良は底辺であがく人々に焦点を当てて、彼らの再起を暖かく見つめる。その視点こそがこんなにファンを獲得できる所以なのだろう。
ただ甘く優しい文章だけでなく、時に硬質な語り口になり、僕たち読者を凍りつかせるのだ。これらの問題が無くならない限り、マコトもタカシも走り続けるのだろう。
実はこの作品を読んでいる時に、次巻で終了であることを知ってびっくりしていたのだが、それも一時的なものらしく、すでに第二次シリーズが開始されていることを知って、ほっとした。
物語はいつもの4編の構成。最終話にじんときた。
中国から二本の工場に送られてくる研修生を救う話。
中国のことを知っているようで、ほとんど知らなかったんだなあ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
日本文学
- 感想投稿日 : 2013年2月8日
- 読了日 : 2013年2月8日
- 本棚登録日 : 2013年2月8日
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