『日記 1931~34』を倒置し、置換し、4次元的なアクロバティックな方法で詩篇にしたものだ。ジェーンとアナイスはナジャ=アルベルチーヌと化したゴモラ的関係、弟に置換された父はドリアン・グレイのように幻想のアナイスと近親相姦を。アランディ博士の精神分析と占星術、凝視する仮面のデュシャン、現代のキリストに変容したアルトー。ひび割れた鏡は分裂した自己、踊るアナイス、ヘンリーは〈近親相姦の家〉か。目眩く色彩、冷たい鋼、ゴシック的美女、ビザンスに吹きつける暑く湿ったシムーン。死と苦痛と退廃。
ランボーの『地獄の季節』の影響もあるらしいが読んでないのでわからない。ミルボーの『責め苦の庭』は『ドリアン・グレイの肖像』日記に書いてあった。金井美恵子の『エオンタ』が似てる気がした。もしかしたら金井はアナイスの影響を受けてるのかな?グールドの『ブラームス間奏曲集,4つのバラード,2つのラプソディ』を聴きながら読んだ。
無名都市のように入り組んだ迷路とドルメンを持つビザンス。吹きつけるシムーンは死と退廃、苦痛と快楽を運ぶ。剥き出しの皮膚のない身体に食い込む砂。純粋無垢な恋をした人魚。美しかった声と引き換えに。ソドムとゴモラ。オピウム。詩人の狂気。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
アメリカ文学
- 感想投稿日 : 2014年6月16日
- 読了日 : 2014年6月16日
- 本棚登録日 : 2014年6月16日
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