イブラヒムおじさんとコーランの花たち [DVD]

監督 : フランソワ・デュペイロン 
出演 : オマー・シャリフ  ピエール・ブーランジェ  ジルベール・メルキ  イザベル・ルノー  ローラ・ナイマルク  イザベル・アジャーニ 
  • ハピネット
3.56
  • (21)
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  • (63)
  • (6)
  • (2)
本棚登録 : 250
感想 : 48
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4907953015791

感想・レビュー・書評

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  • こういう大人に見守られて大人になりたかったなあ。

  • 高校時代に見て気に入った作品。2020年再度観賞。
    いなくなった兄と比較ばかりして愛を見せない厳格な父と暮らす主人公モモに対し、近くの食料雑貨店のイブラヒムが父親の欠けた愛を埋めるようにモモに愛を注ぎ人生の豊かさを伝えてゆく作品。テーマはほぼ一徹して無償の尽きぬ愛。モモの将来の希望を訊くシーンなどモモへの愛が伝わってくる。

    役者の演技がすばらしい。モモの少し屈折した感じ、何か戸惑うような表情は観ている側が愛し励ましたくなる。イブラヒムの茶目っ気たっぷりの笑顔が魅力的で、またセリフに思慮深さと神秘性、人生の経験の蓄積を感じさせる名演。

    映像美が非常に印象的。旅先の美しさもさることながら、ブルー通りの店内やアパート内の暗さと外の明るさ、光と色合いの美しさが魅力。
    また、駆け踊るモモ、嬉しそうに老いた身体を揺らし手を振るイブラヒム、通りを走り抜ける車などの躍動がとてもよい。

    父の死からあまりに展開が速くかつ動機がやや不明なところもあるが、しかし伝えたいことがsimpleなので劇としてコンパクトにまとまっているとも思える。

    宗教の違いだけでなくあらゆる属性の違う人間との関わりについての寛容な精神が娼婦の存在に象徴されている。
    トルコ人への差別や役所の仕事ぶりへの揶揄は世間のままならなさの表現か。イブラヒムの教えの実践の場として用意されたようにも見える。実際、イブラヒムの笑ってごらんが養子縁組申請の場でも出ている。
    アラブ風の風呂でイブラヒムがモモの頭に水をかけるシーンの洗礼のモチーフと、イスタンブールで目隠しで各宗教施設を訪れ匂いで感じる場面が面白い。

    ふんわりした感動系とは違って各所から匂ってくる現実感、暗さ、とくにイブラヒムのセリフが甘いだけではないビターな響きがある点が秀逸。
    主要な登場人物同士の世界で完結せず、その周囲の人間の生きる世界が奥行きをもって描かれているのも印象的で筋書きの作為性とは対照的に作り物らしさがない。

  • 少し展開がはげしくてついていけない。
    なぜ?みたいなのが、たくさん。でも宗教を越えて年齢も越えた心の交流は素敵。

  • ★4.0

    TSUTAYAでたまたま目について借りた。

    イブラヒムおじさんの笑顔ってなんてチャーミングなんでしょ。

    笑うと幸せになる。
    神様が導いてくれる、本はいらんよ。

    気にするな。あの子に対する愛は君だけのものだ。あの子の気持ちが変わっても気味の愛は変わらない。
    君が与えるものは永遠に君のものだ。欲張ればすべて失う。

    いつかまた観たくなる気がする。

  • イブラハムおじさんの言葉が癒された。

    ミリアムが他の人を好きになっても君の思いは君のものさ。
    宗教は考え方の話さ。

    全体的にテンポもよく、あっという間に見終わる。暗すぎず、浅すぎず。

  • 孤独なユダヤ人少年とトルコ移民の老人の交流をつづる感動作。イスラム教の聖典“コーラン”に習い、人生の喜びをわかち合う2人の姿をいきいきと映し出す。

  • 思春期の男の子がおじいさんから人生について学ぶお話。

    旅出るために車買ったり免許取ったり、意外と金持ってんなーって感じ。

    あと車がいい音してた。

    コーランのことを知ってないと面白さが伝わってこないのかな?

    最後のシーンはおじいさんと同じ人生歩んでるぜ!ってことなのかな?

    ストーリー
    1960年代のパリ。母親が兄を連れて家出し、父親とふたり暮らしの13才のモモは、食料品店を営むイブラヒムおじさんと知り合いになる。父はモモと兄を比べては小言ばかりだったが、イブラヒムおじさんは本当の孫のように可愛がってくれた。そんなおじさんが大好きになったモモ。そんなとき、父が置き手紙を残し、モモを棄てて家を出ていってしまい、彼は深く傷つく。
    お金はなくても心豊かに楽しく生きる方法をたくさん知っているイブラヒムおじさんとの交流の中で、哀しい生い立ちのモモが、ささやかな幸せを見いだしていく、その愛情たっぷりのやりとりが微笑ましい。また、ヤンチャな盛りのモモが早く初体験をすませようと必死になる姿など、ニヤリとさせるユーモアも。血はつながってなくとも家族のようになっていくおじさんとモモの姿には、他人同士でも家族以上の絆が結べるのだ…と、人と人とのふれあいの素晴らしさに心が温まる。イブラヒムおじさんを演じたのは往年のスター俳優オマー・シャリフ。温かみと渋みを兼ね備えたぬくもりある演技は秀逸。(斎藤 香)

  • 笑ってごらん…幸せになれるから。笑って。
    急がないこと。それが幸せの秘密だよ。
    ほら、人生は素晴らしい。

    愛を感じずに育った少年モモが、近所の食料品店主の老人イブラヒムと出会い、
    笑顔を、そして人生を教わり、成長していく物語。

    本当はお父さんはモモのことをとても愛しているのだけど、
    離婚して働きながら独りで子育てをしていくうちに、
    神経質な性格が災いして、どんどん心の余裕がなくなって、
    モモへの愛情表現も忘れてしまったんだ。
    そして解雇されたお父さんは、何もかも上手くいかない自分を責め、
    ついに、独りで命を絶ってしまった、とても悲しい人なんだ。
    だけど幼いモモはお母さんだけでなくお父さんにも捨てられたと思ってしまう。
    持って行き場のない憎しみだけが残ってしまった。
    この映画で一番悲しい場面。

    そんなモモをイブラヒムおじさんは、すべて受け入れてくれた。
    自分の息子にしてくれた。おじさんは昔から近所のモモのことを気にかけていたんだ。
    そして二人はおじさんの故郷に旅立った。新しい人生の旅路だ。
    実はそこでも悲しい出来事が待っているんだけど、
    おじさんから人生の素晴らしさを教わったモモは、
    ひとりの怖さ、悲しみを受け入れて笑顔を見せることができたんだ。

    笑ってごらん…幸せになれるから。笑って。
    急がないこと。それが幸せの秘密だよ。
    ほら、人生は素晴らしい。

    おじさんの珠玉の言葉が元気をくれる。
    ・最初はプロの手ほどきを。
    複雑な感情が理解出来るようになったら素人を抱けばいい。
    ・美はどこにでもある。
    ・宗教とはものの考え方さ。
    ・足が痛む靴は取り替えればいい。足は取り替えが出来ないからな。
    ・彼女に振られても君の愛は変えられん。彼女への愛は君だけのものだ。
     君が与えるものは永遠に君のものだ。欲張れば全て失う。
    ・答えないのが答えだ。
    ・行こう。店を間違えた。2週間?私は死んでいるかもしれんぞ。明日届けろ。
    ・(運転経験て、まさか馬車だったとか?)馬じゃない、ロバさ。
    ・ゴミ箱が散らかっている国は貧しい国だ。ギリシャ?幸福の匂いがするだろ。
    ・お香の香りはギリシャ正教会、ロウソクの匂いはカトリック教会だ。
    ・足ぐらい臭わないと一人前とは言えんぞ。私はほっとするよ、足の匂いを嗅ぐとね。
    ・“僕はどうすれば?”“笑顔で待ってろ。すぐ戻る。”
    ・私は死なないよ。旅立つんだ。無限の世界に。

    ジダンの国、フランスの映画。
    (120805鑑賞)

  • 食料品店を営むトルコ移民の孤独な老人と、貧民街育ちの万引き少年モモの絆を描いたお話。このおじいちゃん深いことをさらっと言ったと思えば、子供のようにはしゃいだり、とっても可愛いんです。二人で素敵な車に乗って旅に出るのですが、その景色もとても美しいです。そして、少しばかり悲しい。

  • 「笑ってごらん—幸せになれるから」


    1960年代初頭のパリ。
    モモ(ピエール・ブーランジェ)は、ブルー通りのアパルトマンで父(ジルベール・メルキ)と暮らす13歳のユダヤ人の少年。母は、モモが生まれてすぐ兄のポポルを連れて家を出て以来、まったくの音信不通。その寂しさもさることながら、優等生だったというポポルと比べられ、父から小言を言われることが、モモにはうっとうしくて仕方がない。
    そんなモモの目下の最大の関心事は、はやく初体験をすませること。毎日、アパルトマンの窓から娼婦たちの姿を眺めながら、誘い方の練習に励むモモ。
    「今日こそは」と意を決した彼は、貯金箱の小銭を持って、通りの向こうにあるトルコ移民の老人の食料品店へ両替に行った。店主のイブラヒム(オマー・シャリフ)には、両替の目的はお見通し。だが彼は、黙ってモモに札を手渡した。その35フランを握りしめ、通りに戻ったモモは、16歳だと年齢をごまかして娼婦を誘うことに成功。晴れてオトナの仲間入りを果たす。
    それからしばらくして、ブルー通りに映画の撮影隊がやって来た。近所の人たちや娼婦に交じって、モモも撮影を見学。イブラヒムの店では、女優(イザベル・アジャーニ)が買い物をした。イブラヒムが水を5フランで売りさばくのを見て、「ぼったくりだね」と声をかけるモモ。するとイブラヒムは、「君がくすねた分を取り返さなくちゃ」と言った。彼は、モモが毎日のおつかいのついでに、缶詰を万引きしているのを知っていたのだ。「ちゃんと弁償するから」と、しどろもどろになるモモに、「弁償しなくていい。でも、盗みを続けるならうちの店でやってくれ」と答えるイブラヒム。モモ宅の家計の苦しさを知っている彼は、余ったパンをあぶって食べる方法や、コーヒーにチコリを混ぜる方法、ティーバッグを乾かして再利用する方法をモモに教える。そんなイブラヒムに、モモは、父親からは得られない大きな愛情を感じるのだった。
    モモがイブラヒムに教えてもらったことのなかで最も役に立ったのは、笑顔で幸せをつかむ方法だった。数学の授業で問題が解けなくて困ったとき、いくら誘っても相手にしてくれなかった娼婦を口説くとき、笑顔はとても役に立った。だが、父にこの手は通用せず、笑顔を向けても「歯列矯正が必要だ」と言うばかり。ガッカリしたモモは、「僕がポポルならパパに愛されたのに。ポポルはママに笑い方を教わったはずだ」と、イブラヒムに寂しい胸中を打ち明ける。そんなモモを、「ポポルよりも100倍、君のことが好きだ」と言ってなぐさめたイブラヒムは、「足は取り替えることができないから」と、モモに靴を買ってくれた。
    そんなある日、失業したモモの父親が、わずかな持ち金と置き手紙を残し、家を出て行った。父に捨てられた悲しさと、束縛から解き放たれたうれしさが入り交じった複雑な思いにかられるモモ。
    彼は、同じアパルトマンに住むミリアム(ローラ・ナイマルク)という少女と交際を始めるが、まもなく彼女の気持ちは別の少年に移っていった。生まれて初めての失恋を体験したモモに、イブラヒムは、「彼女への愛は、永遠に君のものだ」と優しく言葉をかける。
    まもなく、モモの家に悲しい知らせを持って警官がやって来た。父が、マルセイユ郊外で鉄道自殺をはかったのだ。 
    数日後、ひとりの女性がモモの家を訪ねてくる。彼女は、モモが生まれてから一度も顔を見たことのない母親(イザベル・ルノー)だった。「迎えに来た」と言う母に、「自分は留守番のモハメッドだ」と答えるモモ。そのとき初めて、彼は、自分が母の不倫によって生まれた子供であること、そして、ポポルという兄などいないことを知る。
    母が去っていったあと、イブラヒムの店を訪ねたモモは、「僕を養子にして」と頼む。この申し出に、イブラヒムは大喜び。そんなふたりの前には、人種と血縁の壁が立ちはだかったが、それをなんとか乗り越えて、晴れてモモはイブラヒムの息子になった。
    しばらくして、赤いスポーツカーと運転免許を手に入れたイブラヒムは、モモを連れて故郷のトルコへ帰ろうと決意する。フランスからスイス、アルバニア、ギリシャをめぐる旅を通じて、本物の親子のように心を通わせていくふたり。
    モモを自慢の息子だと人々に紹介するイブラヒムは、「幸せだよ、モモがいてコーランの教えがある」と言いながら、特上の笑みを浮かべる。やがてトルコに到着したふたりは、イブラヒムの故郷の村をめざすが……。

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