心に負った傷を怪異譚を聞くことによって癒していく。怪談は現代が舞台だと一瞬で嘘くさいものになってしまうが、時代小説だと納得できるものになる。宮部みゆきの作品はよくやさしいと評されるが、登場人物は悲惨な過去を持っていることが多い。そこからどう立ち直っていくかが醍醐味となるわけだが、ついに怪談によって立ち直るおちかという存在が誕生した。ラストの犯罪を犯した側にも事情があるからといって許していいのかという問いは『模倣犯』にもあった。彼女の中で大きなテーマとなっていることがわかる。人間の心の闇を浮かび上がらせる宮部みゆき。落とし所をどこに持っていくのか興味を惹かれる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史・時代小説
- 感想投稿日 : 2017年4月5日
- 読了日 : 2017年4月5日
- 本棚登録日 : 2017年4月5日
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