ヒトラーの出現とその思想背景などバックグランドを探るものが論点のメインであり、ヒトラーそのものに直接関する事は少ないので注意を。しかし、おそらくこうした構成主義的な立場から著者がアプローチしたのは、これが初版される時代にはヒトラーに対する誤解や多くの過ちがあったことだろう。それは著者が本書の中で度々取り上げる、カリスマ性や偉大な指導者としての誇張、もしくはヒトラーを人格破綻者、精神障害者、禁断の子ども(父と母がおじと姪の関係にあり、そこで生まれた為に障害を持っていたとする説)などを排する為の試みだったのだろう。ヒトラーがオーストリア・ハンガリー帝国の出身で、その為同国の政治指導者二人の思想の影響を受けたというのはおもしろい。ただ、結局はボンボンだったんだろうね、中途半端な。だから、下からの革命家(彼の主張に則れば反革命。同じだけどね、見方を変えれば)やカリスマ的指導者としての演出が必要だったと。
読書状況:未設定
公開設定:公開
カテゴリ:
新書
- 感想投稿日 : 2007年2月25日
- 本棚登録日 : 2007年2月25日
みんなの感想をみる