常に音楽が流れている。60~80年代のヒットチャートを賑わした楽曲。くらだないものとくだらなくないもの、どのシーンでも軽やかに、ときには艶やかに音を奏でられている。もちろん小説だから音は聞こえない。でも音楽が流れたら踊るのが生きる礼儀なのだ。
本作品はいわゆる『青春三部作』の第四部目という位置づけである。が、主人公や羊男などの共通設定を除けば三部作とは毛並みが異なる。正確にいえば映画的表現と文学的表現が巧みに組み合わされ村上ワールドを作り上げている点は共通しながらも、これまでにあったような退廃的な異世界感は影を薄め、現代的であり何処か刹那的である。
村上春樹作品は度々読者を混乱させるが、珍しく(?)ストーリーが分かりやすい。流れに身を委ね文体を楽しんでいただきたい作品だ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文学
- 感想投稿日 : 2016年5月11日
- 読了日 : 2016年5月11日
- 本棚登録日 : 2016年5月4日
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