安部公房氏の遺作。
相変わらず意味がわからない。脛からかいわれ大根が生えた男が自走ベッドで不条理な世界を体験していく。良くいえばダンテの『神曲』、悪くいえば狂人の絵空事。しかし物語は破綻していない。安部公房氏はその着想を夢から得ることが多いと語っているが、こんな夢を見る人はまず居ないだろう。緻密な情景描写と前触れも無く切り替わる場面、そして賽の河原で繰り広げられる高度なブラックジョーク。そもそも『カンガルー・ノート』とは何だったのか。文豪は数居れど、世界に比す真の天才は少なく、安部公房氏は紛れもない天才であろう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
文学
- 感想投稿日 : 2016年8月29日
- 読了日 : 2016年8月29日
- 本棚登録日 : 2016年8月28日
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